EUの執行機関である欧州委員会がGoogleによるFitbitの買収を認めたというニュースが飛び込んできました。
Fitbitを愛しすぎた男の私(ええぞう)がEUの情報元を日本語に訳して、買収の条件、買収の経緯と背景をわかりやすくまとめます。
情報元:
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_20_2484
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_20_1446
ざっくり概要
EUの執行機関である欧州委員会は、12月17日にGoogleが21億ドル(約2250億円)で、ウェアラブル端末メーカーFitbitを買収する計画を承認しました。
ただし、GoogleのFitbit買収には以下の条件がつきます。
- Googleは向こう10年、FItbitで得られたデータを広告に使用できない。
- ユーザーのプライバシーを考慮し、Fitbitが収集したデータは、他のGoogleデータとは隔絶された場所で保管する。
- ユーザーは、自身の健康データをFitbitのサーバーか、Googleのサーバーか、どちらに保存するかを選べる。
欧州委員会の副代表は「ウェアラブル端末とウェルネス市場は、オープンである(独占されていない)ことを確認した。Googleの提出した提案書には、GoogleがFitbitを使って集めたデータをどう活用するかが記されており、ユーザーは自分の情報をGoogleに提供するかどうかを選ぶことができる。よって、GoogleによるFitbitの買収を承認した」とコメントしました。
Googleは「最高のAI、ソフトウェア及びハードウェアを集結させることで、ウェアラブルのイノベーションに拍車を掛け、世界中の多くの人に役に立つ製品を作る」とコメントしました。
GoogleがFitbitを買収する目的と背景を徹底
Googleのねらいと、未来のビジョンとは?
Googleはヘルスケア市場への進出を狙っていると考えられています。Googleは今までも、Google検索、Googleマップ、Googleアシスタント、Youtubeなどのサービスを使い、AIを上手く活用することで、ユーザーに対して効果的な広告を打つことに成功してきました。
「従来からの広告業」×「ヘルスケア業界」というブルーオーシャン(ライバルのいない新しいマーケット)に乗り込もうとしているのではないかと考えられています。Fitbitを買収することで、ユーザーの「運動習慣」「体調の状態」「睡眠の質」「健康への興味の有無」という今まで手に入れられなかった情報を手に入れることができます。
- 運動習慣のあるユーザーにはランニングシューズの広告を
- 体調が悪いユーザーには解熱剤の広告を
- 睡眠不足のユーザーには睡眠薬の広告を
など、ユーザーの健康に関するデータを活用した、新たな広告の手法が生み出されることが期待されます。

Fitbit買収により、Googleの持つAIの進化も期待できます。今までに無かった健康データを組み合わせて機械に学習することで、世界でも随一のAI技術を手にすることが出来ます。進化したAI技術は他の分野への応用も期待できますので、Googleが多額の費用(約2250億円)と苦労を掛けてでもFitbitを買収したいというのは納得できる話です。
ヘルスケアウェアラブル端末といえば、忘れてはいけないのがApple Watchです。ウェアラブル端末業界では圧倒的シェアを誇るAppleを、Googleが意識してヘルスケア市場を開拓しようとしているという噂もあるようです。

Fitbitもノリノリ?
買収される側のFitbitも結構ノリノリのようです。Fitbitはウェアラブル端末の先駆者とも呼べる存在で、現在のウェアラブル業界の礎を築いた企業です。しかし、近年は市場でのシェアを押され気味なのが現状です。
Apple watchという大きな存在の他に、中国企業の台頭、GarminやFossilなど企業の参入などが相次ぎ、ウェアラブル業界は今や戦国時代と言えます。そんな新興勢力に押されて、近年Fitbitは赤字が続いていました。そんな中でのGoogleの後ろ盾はとてもありがたいものですよね。技術的にも財政的にも超強力なバックアップがつくことになります。
ここ最近のウェアラブル業界は、
- ストレスチェックなどの高度なセンサ技術
- 寿命の長いバッテリー
- 非接触支払いシステム(Apple Payなど)
を兼ね備えた端末がトレンドで、企業による製品の違いがかなり少なくなって来ていました。ユーザーのほしい機能と、メーカーの技術がある程度の終着点にたどり着き、ある意味でつまらなくなってしまっていました。そんな中、GoogleがFitbitを買収したことで、ウェアラブル端末業界はまだまだ波乱が続きそうです。目が離せません。
GoogleのFitbit買収はかなり揉めた?買収の経緯を徹底解説
GoogleがFitbit買収を発表したのは、2019年11月のことです。今から約1年も前です。なぜ今まで長い間承認されて来なかったのでしょうか?もちろん新型コロナウイルスの影響はありますが、GoogleのFitbit買収には以下の争点で長い間、議論が続けられていました。
争点①市場の独占禁止になるのでは?
Googleの十八番である「広告業」と「ヘルスケア業界」を掛け合わせたビジネスは、前代未聞の取り組みです。それがゆえ、ライバルはおらず、Googleのような超大企業であれば、あっという間に市場を独占してしまうでしょう。
そこが、市場の公正で自由な競走を守る「独占禁止法」に引っかかることが懸念されていました。
今回欧州委員会が、GoogleのFitbit買収を認めた理由の1つに「Fitbitはヨーロッパでのシェアは小さく、Apple、Garmin,Sumsungなどの大きな競合他社がいる」ことが挙げられています。Fitbitのシェアが小さいがために、Googleが買収しても市場の自由を脅かす恐れはないとの判断がされました。
また、Googleは向こう10年間Fitbitで得られた情報を広告に使わない提案をし、欧州委員会がそれを受け入れています。
争点②健康データはちゃんと管理できるのか?
健康データは、バッチバチのプライバシー情報です。新型コロナウイルスの影響で人々の健康意識が高まっている今、非常に価値の高い情報で、データの漏洩やハッキングが懸念されます。
欧州委員会の調査では、Googleがどのように健康データを管理し守っていくのかが厳しく監査されました。Googleは、Fitbitが収集したデータを、他のGoogleデータとは隔絶された場所で保管することを提案し、欧州委員会がそれを受け入れました。
さらに、ユーザーは自身の健康データを、Fitbitのサーバーに保存するか、Googleのサーバーに保存するかを選べるようになるそうです。
GoogleがFItbitを買収する条件は?
欧州委員会は、Googleが以下の条件の下、Fitbitを買収することを認めました。
- Googleは向こう10年、FItbitで得られたデータを広告に使用できない。
- ユーザーのプライバシーを考慮し、Fitbitが収集したデータは、他のGoogleデータとは隔絶された場所で保管する。
- ユーザーは、自身の健康データをFitbitのサーバーか、Googleのサーバーか、どちらに保存するかを選べる。
残りのハードルはオーストラリアだけ
GoogleのFitbit買収に関して、オーストラリアの規制当局も調査を実施しています。オーストラリア規制当局の調査が最後のハードルとなります。
欧州委員会の許可が追い風になるのか?まだまだ目が離せません。
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