本記事では、QC検定 ( 品質管理検定 ) 合格のために必要な知識を解説します。
最後には演習問題がありますので、本記事で学んだ内容の復習にどうぞ。
本記事では、QCの基本的な考え方を学びます。
QC検定の過去問題集はこちら


QC検定 ( 品質管理検定 ) とは?
QCとは Quality Control ( 品質管理 ) の頭文字です。企業が生み出す製品やサービスの品質を管理する活動です。
QC検定とは、品質管理に関する知識を評価する試験です。試験では、主に以下の知識が問われます。
- 品質管理の手法や考え方
- 品質管理の実践
- 改善能力などの知識
品質管理
JIS Z 8101には、品質管理とは「買い手の要求に合った品質の製品やサービスを経済的に作り出すための手段の体系」と記されています。
企業はお客さまの要求を満足できるような品質の製品やサービスを提供し、そしてその対価としてお金を得ます。品質管理とは、企業がお客さまに提供する製品やサービスの品質が常に適切(品質が高すぎたり、低すぎたりしない)であるように行う活動です。
例えば、電動歯ブラシを例にしましょう。
電動歯ブラシが持つ価値の1つに「普通の歯ブラシよりも高い歯垢除去能力」があります。この能力が低すぎればクレームが出たり、商品が売れなくて赤字になってしまいます。逆に能力が高すぎると、儲けが少なくなってしまい企業は損をしてしまいます。
そうならないために「電動モーターが思い通りの振動を起こすかを出荷前に確認しよう」と行うことが品質管理の一例です。
全員参加
全員参加とは「品質管理を効率的に行うための取り組み」であり、その意味は「企業のすべての部門の人たちがベクトル(方向性)を合わせて行動すること」です。
この「全員」とは、企業で働くすべての人を指します。社長からアルバイトまで、すべての職位を含みます。また品質管理部だけでなく管理部・企画部・営業部・製造部まですべての部門を含みます。
品質管理を実際に行うのはそう簡単ではなく、会社のトップがリーダシップを発揮して、従業員のやる気を引き出す必要があります。
しかし一方で、会社のトップだけでは現場で実際に起きていることをすべて把握することはできません。そのため、第一線で働く現場の従業員も参加することが必要です。
品質管理は、トップダウンとボトムアップの両方の歯車が噛み合わないと、効果的な成果は得られないのです。
品質
「品質とはなにか?」と質問されると、言葉に詰まってしまいます。
当たり前のように日々使う言葉ですが、その意味を深く考えたことのある人はそう多くはないと思います。
JIS Q 9000によると品質とは「対象に本来備わっている特性の集まりが、要求を満たす程度」と記されています。
もうすこし簡単な言葉を使うと「お客様が期待する働きを持ち、安心して使えるバラツキの少ないもの」と言えます。
例えば、テレビを例に考えてみましょう。
働きとは、画質、処理能力といったぱっと思いつく製品の性能だけでなく、寿命や消耗しにくさといった信頼性、安全性なども含まれます。
バラツキとは、良いと悪いの当たり外れです。バラツキが大きいテレビだと、朝は画質が良いけど夜は画質が落ちる、製造時期によって寿命が長かったり短かったりするということがあります。
品質は、働き(の良さ)とバラツキ(の少なさ)の足し合わせです。

ねらいの品質
ねらいの品質は、別名「設計品質」とも言われます。
設計品質のほうが馴染みのあるひとも多いのではないでしょうか。ねらいの品質とは「お客さまの要望を正しくつかみ、それを実現する能力」です。
例えば、電動歯ブラシを例にしましょう。
市場調査をした結果、お客さまが望む要望が「歯磨きの時間が1回2分で済む」ということがわかったとします。
この「1回2分」を実現する能力が「ねらいの品質(設計品質)」です。
さらに、この「1回2分」を実現するためには、電動モーターも回転数が毎分5万回以上必要であることがわかったとしましょう。
すると、この「毎分5万回以上」を品質目標といいます。
できばえの品質
できばえの品質とは、別名「製造品質」とも言われます。
製造品質のほうが馴染みのあるひとも多いのではないでしょうか。できばえの品質(製造品質)とは「ねらいの品質をどの程度実現できたか」を意味します。
例えば、電動歯ブラシを例にしましょう。
上の例で「毎分5万回以上」の回転数を持つことが電動モーターの品質目標であることがわかりました。
実際にモーターを作った場合、回転数が5万回ちょうどのものもあれば、4万9千回のものもあれば、5万2千回のものもあります。
このように、実際の製品やサービスが持つ性能をできばえの品質(製造品質)といいます。
当たり前品質
当たり前品質とは、文字通り「実現できて当たり前の品質」です。逆に「実現できていないと不満を感じる品質」です。
例えば、パソコンを例にしましょう。
あなたがパソコンを買ったとします。そのパソコンには表計算ソフトがインストールされていませんでした。あなたは、当然入っているものと思っていたからガッカリしたとします。
このとき「表計算ソフトがインストールされている」ということが、当たり前品質になります。
お気づきかもしれませんが、当たり前品質は、それを受け取るお客さまによってさまざまです。
そのため企業は、多くのお客さまが何を求めているのか、どんな機能を当たり前だと思っているのかを正しく把握しておく必要があります。これを間違えてしまうと、その商品はただの約立たずになってしまいます。
魅力的品質
魅力的品質とは、当たり前品質の真逆で「実現されていると嬉しいが、実現されていなくても不満はない」品質です。
例えば、パソコンを例にしましょう。
あなたがパソコンを買ったとします。そのパソコンの電池寿命が1週間以上ありました。前のパソコンは数日しか持たなかったので、寿命の長さに感動しました。
このとき「電池寿命が1週間以上ある」ということが、魅力的品質になります。
お気づきかもしれませんが、魅力的品質は、それを受け取るお客さまによってさまざまです。
この例ではお客さまは魅力的に感じましたが、最近のパソコンに詳しいお客さまなら「電池寿命1週間は当たり前」と同じ品質でも当たり前品質になることもあります。
魅力的品質は、あればあるほど嬉しい品質ですが、過剰に盛りすぎると製造コストが上がり製品の価格アップの原因になります。
安い値段でそこそこのものがほしいお客さまもいるので、どの要望をもつお客さまをターゲットにするのかで、魅力的品質をどこまで盛るかの判断が重要になります。
これを間違えて不要に機能を盛りすぎると、この製品は「無駄に高級」となって結局買い手がつかないという事態になってしまいます。
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一元的品質
一元的品質とは「出来ていれば満足し、出来ていないと不満を感じる品質です」
例えば、パソコンを例にしましょう。
あなたがパソコンを買ったとします。パソコンには、セキュリティソフトがインストールされていました。あなたは、パソコンにセキュリティソフトは必要だと感じていたので、これに満足しました。
セキュリティソフトが入っていなければ、あなたは不満に感じたはずです。
これが一元的品質です。
一元的品質は、当たり前品質(ないと不満、あっても当たり前)と魅力的品質(なくても不満ではない、あると魅力的)の中間に位置します。
逆に考えると、お客さまや時代が変われば、一元的品質は当たり前品質にも魅力的品質にも変わりうるとも言えます。

無関心品質
無関心品質とは、文字通りで「あってもなくてもどっちでも良い品質」です。
例えば、電動歯ブラシを例にしましょう。
あなたが電動歯ブラシを買うと、QRコードがついていました。
そのQRコードを読み取ると、歯ブラシをサポートしてくれるアプリ(歯ブラシの動きを感知して磨き残しを教えてくれる)をダウンロードできます。
しかし、あなたは興味がなかったのでそのアプリをダウンロードしませんでした。
このように、あってもなくてもどっちでも良い品質が無関心品質です。
逆品質
逆品質とは「なくても満足したり、あると不満を与える品質」です。
例えば、パソコンを例にしましょう。
あなたがパソコンを買ったら、インカメラがついていた。しかしウェブ会議で顔を見られたくないので、インカメラにシールを貼ってふさぎました。
このように、パソコンメーカーは良かれと思ってインカメラをつけたのに、あなたにとっては逆効果だったのです。
これが逆品質です。
サービスの品質
品質は、パソコンや電動歯ブラシのように目に見えるモノだけに使われるものではありません。
目に見えないサービスの品質の例を以下に挙げます。
サービスの品質の例
- 工場や建築現場の事務部門
- ホテルやレストランなどのレジャー業
- 鉄道やタクシー、バスなどの輸送業
- 電話やインターネット回線などの通信・情報業
- 電気やガスなどのエネルギー供給業
- 病院などの厚生福祉業
サービスの品質を評価するポイントとして一般に以下の6つが評価項目として挙げられます。
サービスの品質の評価項目
- 信頼性:期待するサービスを提供してくれることへの信頼感
- 反応性:サービスを提供する上での従業員の反応の良さ
- 確実性:サービスを提供する従業員の技量や知識の豊富さ
- 共感性:利用者への配慮
- 安心感:サービスの質と価格のバランスの良さ
- 有形性:施設や従業員の服装など、目に見えるものの適正さ
まとめ
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