「好きを仕事にしよう」「転職して収入アップ」など素敵なキャリアアドバイス、聞いたことがあると思います。しかし、この言葉を真に受けると失敗、後悔することが世界中の研究結果から明らかになっています。
本記事では、世界中のキャリアに関する研究をまとめた鈴木祐さん著「科学的な適職」から、人生の幸福度を高めるためにに就職活動や転職活動で必ず行われる面接の「最後に、何かありますか?」で、あなたが確認すべき3つの質問を紹介します。
多くの方が気にする「給料が高いか?」「自分が夢見た仕事か?」は、あなたの人生の幸福度を高めてくれません。むしろ不幸になる可能性は低くありません。それよりも、この3つの質問で確認できることの方が人生の幸福度を高めることができるということが、世界中の研究で明らかになっています。
前回の記事で「就活・転職で失敗、後悔する新常識NG行動3選」を紹介しました。こちらも合わせてご覧ください。

鈴木祐さん著「科学的な適職」はAmazon Prime会員なら今なら無料で読めます。本記事は、この本のごく一部をピックアップしたに過ぎません。就職・転職活動で「どうしても上手くいかない」「漠然と悩んでいる」という方は、ぜひ本書を手にとってみてください。
結論:面接で確認すべき新常識3選
・自由:仕事に裁量権があるか?
・達成:小さな仕事の前進を感じられるか?
・明確:私の仕事は誰かの為になっているか?
自由:仕事に裁量権があるか?
仕事の不自由さはタバコより毒
ロンドン大学が公務員を対象に行ったリサーチの報告結果があります。そこでは、以下の2つのグループのそれぞれの幸福度を調べたました。
- グループ1:タバコを吸うが、仕事の自由度(裁量権)が大きい
- グループ2:タバコは吸わないが、仕事の自由度(裁量権)が小さい
2つのグループの幸福度を調べることで、タバコと、仕事の自由度(裁量権)が人の幸福度に与える影響を比べることができます。
結果は、グループ1の方がグループ2よりも幸福度が高いという、驚きの結果になりました。タバコの健康への悪影響は、タバコを吸う人でも吸わない人でもよく知っていると思います。タバコを吸うとニコチン中毒になりタバコを吸い続けないとイライラするようになり、肺がんリスクも向上します。増税されるときは真っ先に矢面に立たされるのがタバコですし、パッケージにはタバコの危険性がでかでかと表示されています。それだけ、タバコは人間にとって毒で健康に悪影響を及ぼします。当然、人生の幸福度も大きな影響を受けるでしょう。
しかし「仕事の自由度(裁量権)」の方が、タバコよりも人を不幸にします。これは驚くべき事実ですが広くは知られていません。さらに、タバコは個人の努力でやめることができます。最近は禁煙外来も充実しています。しかし、仕事の自由度(裁量権)は個人の努力ではどうしようもありません。会社のトップになって構造を改革するか、転職するかの2択です。
また、仕事の自由度(裁量権)はタバコのようにモノでないので、非常に曖昧です。就職したい企業が禁煙に取り組んでいるかは、会社の禁煙所を見れば分かりますが、仕事の自由度(裁量権)は働いてみるまで分からないものです。
以上から「仕事の自由度」を働き始める前に確認することが、いかに重要なことか分かっていただけると思います。

仕事の自由度は男女で違う
一言に仕事の自由度といっても、その種類は色々とあります。2017年に行われた研究によると、男女で幸福度が上がりやすい自由度の定義は異なるようです。その結果は以下のようになります。
男女が幸福になりやすい自由度とは?
男性:仕事の進め方と作業のペース (How)
女性:仕事をする場所とタイミング (Where、When)
男性は「どのように仕事をするか」女性は「いつ、どこで仕事をするか」に自由度があると、幸福度が上がりやすいようです。

面接でのおすすめの質問例
以上をまとめて、私なりにオススメの質問をご紹介します。
オススメの質問例
男性
「個人の仕事のやり方は、その人が決めることが尊重されていますか?」
「仕事の納期はその仕事をする人の仕事量によって調整する余地が設けられていますか?」
女性
「在宅勤務、フレックス出社は採用されていますか?」
「フリーアドレスなど、仕事をする場所を個人で選ぶことが尊重されていますか?」
達成:小さな仕事の前進を感じられるか?
人は大きな達成より、小さな前進で幸せを感じる
ハーバード大学が7つの会社の従業員238人を対象に、累計12,000時間の調査を行いました。この調査では「人はどんな時に一番仕事のモチベーションが高まるのか」を調べたものです。その結果1つの真実に到達しました。それは「人は大きな達成感をたまに得るより、小さな前進を頻繁に得る方がモチベーションが上がる」というものです。
みなさんも日々の生活で実感したことがあると思います。仕事やテストで良い結果を出せるととても嬉しいですが、その幸せは1週間も続きません。もって数日というところでしょう。幸福というのは生モノのようにすぐに鮮度が落ちてダメになってしまうのです。
「褒めて伸ばす」という言葉があるように、子供がちょっと家事をしたらその度に少しでも褒めてあげると、子供は以降も率先して家事を手伝うようになります。たまに大きな幸福が訪れてしばらく大きな幸福が訪れない、山谷の大きい幸福よりも、常に通常よりちょっと幸福な気持ちが継続して続く方が、人は幸福だと感じやすいのです。

面接でのおすすめの質問例
以上の結果から、私なりにおすすめ質問例を紹介します
オススメの質問例
「仕事のフィードバック(お客様や後工程の評価)が得られる仕組みはありますか?」
「仕事の成果はどのように評価されますか?特に、小さい成果を取りこぼさず評価される仕組みはありますか?」
「どのような時に仕事の前進を実感しますか?最近感じた仕事の前進を教えて下さい」
小さな前進は、個人の工夫でも感じられる
「仕事の小さな前進」は個人の仕事の進め方の工夫でも感じるようにすることができます。ただし、その工夫をするためには、あなたにある程度の仕事の進め方の自由度(裁量権)が無いといけませんのでご注意を。
具体的には「朝、1日のスケジュールを考える時、大きな仕事の合間に小さな仕事を織り交ぜる」です。まさか本記事の読書に、朝一にその日の仕事のスケジュールを立てない人はいないと思いますので、その前提でお話します。通常、個人には複数の仕事が割り振られています。そしてその仕事たちにはそれぞれ納期が設けられていますので、その納期を守れるように仕事に取り組む順番やタイミングを個人で調整します。
一日の始め、その日一番頭がスッキリしている状態で、その日のスケジュールを立てる時に、1日をすべて大きな仕事だけで埋めずに小さな仕事を時々割り込ませましょう。すると、1日の中で数回の「小さな前進」を得られるタイミングを確保でき、これによりあなたのモチベーションは高く維持され続けます。
1日のスケジュールの立て方のおすすめの方法をコチラの記事でまとめています。「スケジュールの立て方がわからないよ」という方は、コチラの記事も参考にしてみてはいかがでしょうか?

どうしても1日の仕事の進め方を個人で決められない、裁量権が無いという方は、仕事以外で小さな達成感を得ることをおすすめのします。その中でも私のオススメは筋トレです。筋トレは別名「小さな自己実現の積み重ね」と呼ばれています。筋トレをしてはじめは持ち上げられなかったおもりを持ち上げられるようになったり、贅肉が少しずつ筋肉に変わって体のラインが整っていくのを鏡で見ることで、日々少しずつ前進していることを体感できます。
筋トレのメリットをもっとよく理解したい方はコチラの本を、筋トレによる効果をもっと効率的に得たい人は安くて高品質のマイプロテインをオススメします。
明確:私の仕事は誰かの為になっているか?
仕事のストレスの正体は「分からないこと」
南フロリダ大学のメタ分析によると「タスクの不明確さは、社員の慢性疲労・頭痛・消化器不調と大きく関係している」ということが明らかになりました。メタ分析というのは、大量のデータを分析する研究手法で、数ある研究手法の中でも、最も正解に近い結論を出すことができると言われています。
タスクの不明確さの中でも、特に悪影響が大きいものとして以下の2つが挙げられています。
- 仕事で何を求められているのかが分からない
- 上司達からの指示が一貫していない
人は「自分の仕事が何のために、誰のためになっているのか分からない」「自分の仕事が、大きな組織の中でどんな位置で、どんな役割を持つのか分からない」ときに、不安になりストレスとなってしまうのです。

面接でのおすすめの質問例
以上の結果から、私なりにおすすめ質問例を紹介します
オススメの質問例
「仕事を与えられる時、その仕事の目的や意味は同時に情報共有されますか?」
「複数の上司で指示が違う場合、その上司間で指示意図を共有・調整されますか?」
「このように仕事を与える人の、与え方などを教育する仕組みはありますか?」
まとめ
結論:面接で確認すべき新常識3選
- 自由:仕事に裁量権があるか?
- 達成:小さな仕事の前進を感じられるか?
- 明確:私の仕事は誰かの為になっているか?
この3つを確認し、その組織で働くことがあなたの幸福につながるかをしっかりと吟味しましょう。
